ななと旅とエトセトラ

【レポート】『上松範康×冨田明宏トークショー Elements Garden~その音楽に迫る~』まとめ

f:id:kamashima:20171106033641j:plain


本日、早稲田大学の文化祭にて、早稲田大学アニメ声優会主催のイベント『上松範康×冨田明宏トークショー Elements Garden~その音楽に迫る~』に参加してきました!最近ではネット動画配信サイト『FRESH!』で公式チャンネル『AgemaTV』をはじめられたり、盟友の佐藤ひろ美さんと共に声優アーティスト育成のための新ブランドを設立したりと、より活動も多岐にわたり表舞台への露出も増えてきた上松さん。そんな上松さんのお話を直接聞くことが出来るとても貴重な機会ということで、そのお話の内容をまとめました!

なんとお話の中には、上松さんの新企画に関する重大発表も!!

 

※イベント自体が録音・撮影等禁止のため記憶によるところが多いのでトーク内容の順番や話の構成など若干の齟齬があるかもしれませんが、もし内容自体に誤りありましたらご指摘ください。

 

出演者紹介

簡単に、今回のイベントの出演者の上松範康さん、冨田明宏さんについて簡単にご紹介します。

上松範康さんプロフィール

上松さんといえば、言わずと知れたアニソン業界のトップランナー。数多くのアニソンやゲーソンに係わっている音楽クリエイター集団『Elements Garden』の代表として、水樹奈々さん、宮野真守さん、更にはアニメ関係以外にもKinki Kidsなど有名アーティストに楽曲を提供。

また近年では音楽制作だけでなく、『うたの☆プリンスさまっ♪』や『戦姫絶唱シンフォギア』の原作を手掛けるなど、現代のアニメ・アニソン業界を代表する人物の1人といっても過言ではないでしょう。

ちなみに、出身は長野県安曇野市で、私と同郷というご縁もあったりします。

 

冨田明宏さんプロフィール

冨田さんは数多くの雑誌などでアニソン関係の連載を持つ『ライター』としての仕事の傍ら、内田真礼さんや黒崎真音さんなどアニソンアーティストのプロデュース、アニソン関連のイベント、番組なども企画されるプロデューサーとしての一面も持っています。

近年ではメディアへの露出も多く、テレビ朝日関ジャム 完全燃SHOW』やTBS『マツコの知らない世界』など多くの番組でアニソンの伝道者としてアニソンの魅力を世の中に発信されています。

 

トークショーまとめ

それでは、ここからは実際のトークショー内での各企画ごとの内容をまとめます。

 

フリートーク

まずは、上松さんと冨田さんによるフリートーク

今回は、上松さんが実際に音楽を制作する現場や、Elements Gardenのクリエイターの皆さんが曲を制作するブースなどの写真を撮ってきていただき、その写真に添ってお話が展開されました。

そこでまず語られたのが、Twitter上の一部上松ファンの間で話題になっている『全裸作曲』について(笑)。よく上松さんのTwitter公式アカウントでは全裸で作曲する旨がつぶやかれていたりするのですが、なんとそれは冗談ではなく本当に行われているとのこと。実際に『椅子があみあみのメッシュだからそのまま座るとお尻に跡がついちゃうので、全裸作曲の際は下にタオルを敷いている』等全裸作曲の生々しい全貌も明らかになりつつ(笑)、やはり作曲をするということ自体がメロディが降ってくる一種のスピリチュアルなものということで、ありのままの姿で曲を生み出しているとのことでした。

 

次に、Elements Gardenクリエイターの皆さんの制作現場やスタジオについて。写真の中ではElements Gardenのメンバーの一人である菊田大介さんの制作スペースの写真を基にトークが展開されました。その中では、それぞれのクリエイターの制作スタイルも語られ、例えば菊田さんの場合は曲の制作に入るとほぼスタジオにこもりっきりになるとのことですが、上松さんの場合はスタジオにこもるのは6時間が限界といことで、限界を超えるとスタジオを飛び出して気分転換をされるそう。

そしてその裏話として、昔冨田さんがElements Gardenのスタジオの近所に住んでいたころ上松さんとよくすれ違ったりしていたそうです。

 

また、その他ではElements Gardenのクリエイターの心構えや育成方針も語られました。有名な話ですが、Elements Gardenのクリエイターは入社後3年間は曲を書かせてもうことが出来ず、まずは業界の方との挨拶や譜面の書き方など、基本的な部分から学ぶことになります。これに関しては、上松さんには『曲を書く以前に大切なことはたくさんある』『それを感じ取ることが出来ず「3年間書くことが出来ないんだ」と思ってしまう人は採用しない』という想いがあるとのこと。音楽で飯を食っていくという覚悟を上松さんはご自身の経験から新人に問うて、本当にその覚悟を持った人を育成していくんだという意気込みを感じられました。

ただ、この3年の下積みというのは必ずしもマストなことではなく、しっかり学ぶべきことを理解できていたり、既に素地が出来上がっている人についてはそれより短い期間で曲を書くこともあるということです。

 

Elements Garden楽曲ランキング

こちらは、事前アンケートで募集したElements Gardenがかかわった曲でみんなのお気に入りの曲をランキング形式でまとめたもの。

その結果は以下の通りです↓

 

順位 曲名 歌手
10位 Paradise Lost 茅原実里
9位 Trancing Pulse 渋谷凛×神谷奈緒×北条加蓮
8位 逆光のフリューゲル ツヴァイウィング
7位 1000回潤んだ空 Poppin'Party
6位 マジLOVE1000% ST☆RISH
5位 カノン 宮野真守
4位 Pray 水樹奈々
3位 深愛 水樹奈々
2位 翼はPleasure Line 栗林みな実
1位 ETERNAL BLAZE 水樹奈々

 

10位

Paradise Lost』(テレビアニメ『喰霊―零―』OPテーマ)

作詞:畑亜貴
作・編曲:菊田大介

9年前の曲になりますが、茅原実里×菊田大介という黄金コンビで『すげぇもの作るぞ!』と言って出来上がったのがこの曲。

 

9位

『Trancing Pulse』(テレビアニメ『アイドルマスターシンデレラガールズ』劇中歌)

作詞:AJURIKA
作曲:上松範康
編曲:藤永龍太郎

上松さんが作曲し、藤永さんが編曲されたこの曲。藤永さんについて、上松さんの口から藤永さんのことを『うちのエースになりつつある』という言葉もあり、藤永さんに対する期待が感じられました。

私も藤永さんの曲は大好きで、奈々さん関連の楽曲では奈々さんが作詞・作曲をされた『君よ叫べ』の編曲を藤永さんが担当しています。それまでの奈々さん作詞・作曲の曲といえば、上松さんを含めたエレガトップ3のうちの2人である藤田淳平さん、藤間仁が担当していたのですが、そこに一気に藤永さんが割って入ったということで『すごい若手が現れたな』と思っていたのですが、やはり上松さんからの期待も大きい存在だったんですね。

 

8位

『逆光のフリューゲル』(テレビアニメ『戦姫絶唱シンフォギア』劇中歌)

作詞・作曲:上松範康
編曲:菊田大介

シンフォギア1期挿入歌のこの曲。トークショーの中で触れられていたのは、『逆光のフリューゲル』という曲名について。上松さんは自他共に認める『中二』ということで、『翼』でも『ウィング』でもなく、ドイツ語の『フリューゲル』にしたのはとにかくカッコいいから。また、ユニット名の『ツヴァイウィング』についても同様で、『ツーウィングじゃなくてツヴァイだからカッコいい!』とのことでこの名前に。

ただ、日本語とドイツ語のミックス、ドイツ語と英語のミックスということでそれについて突っ込まれることもあったそうです(笑)

 

7位

『1000回潤んだ空』(テレビアニメ『BanG Dream!』イメージソング)

作詞・作曲:上松範康
編曲:藤永龍太郎

この曲はテレビアニメ『BanG Dream!』の関連楽曲の中で上松さんが唯一作詞をされた曲ということで、上松さん自身の思い入れも深い曲ということ。またBanG Dream!という作品がバンドをテーマにしている作品ということで、かつて上松さんが学生時代バンド活動でドラムを叩いていたという想い出もあり、その上松さんの想いがこもった曲とのこと。

 

6位

『マジLOVE1000%』(テレビアニメ『うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVE1000%』EDテーマ)

作詞・作曲:上松範康
編曲:藤間仁

世間にうたプリフィーバーを巻き起こしたこの曲。ニコニコ動画で空耳が盛り上がっていたということは上松さんもご存じだったそう。

 

5位

『カノン』(テレビアニメ『うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVE2000%』OPテーマ)

作詞・作曲:上松範康
編曲:藤田淳平

うたプリ2期のOPテーマであるこの曲。あえて1期ではなく2期の曲が選ばれていたということで上松さん、冨田さんも少し意外そうでした。

この『カノン』のコンセプトとしては、やはり1期の『オルフェ』の流れを踏襲することを意識して作られたそう。その他、宮野真守いじりが色々と繰り広げられていました(笑)

 

4位

『Pray』(テレビアニメ『魔法少女リリカルなのはStrikerS』挿入歌)

作詞:Hibiki
作・編曲:上松範康

この曲については、『リリカルなのは』という作品についての想いを語られていました。上松さんにとってなのはという作品は、その熱いストーリや劇中での音楽のからめ方など、その後上松さんが生み出すことになるうたプリシンフォギアのもとになっているとのこと。

 

3位

深愛』(テレビアニメ『WHITE ALBUM』OPテーマ)

作詞:水樹奈々
作曲:上松範康
編曲:藤間仁

この曲は、上松さんが作った曲として初めてNHK紅白歌合戦で歌われた曲ということで、記念すべき1曲。実は上松さん、2009年の紅白当日にあのNHKホールの現場にいらっしゃったそうで、奈々さんと、また一緒に出演されていた上松さんの実妹でアルパ奏者の上松美香さんを心配しながら見送って、なんとTVの映像に映りこんでいたのを放映時に冨田さんが発見していたとのこと。美香さんが出演していたのはもちろん知っていたのですが、上松さんが映りこんでいたのは知りませんでした(笑)

 

2位

翼はPleasure Line』(テレビアニメ『クロノクルセイド』OPテーマ)

作詞:畑亜貴
作・編曲:上松範康

この曲は2004年の曲ということでもう14年前の曲になるのですが、現在の上松さんの音楽スタイルの原点ともいえる曲とのこと。当時はまだElements Garden自体も結成されておらず、上松さんが自身の曲を売り出すためにどうすればいいかということで出来上がったこの曲で形になったのが、上松曲の代名詞にもなっているストリングスを使ったアレンジ。

またこの曲は奈々さんとの出会いのきっかけにもなった曲で、実は奈々さんサイドがこの曲を聴いて『こんな曲を歌ってみたい!』ということで上松さんに楽曲制作をオファー。その結果生まれたのが、奈々さんの4枚目のアルバム『ALIVE&KICKING』に収録されている曲『Tears' Night』(作・編曲 上松範康)です。

その他にも、裏話としてかつて上松さんが専門学校に通ってた頃、半年間マンツーマンで曲作りの指導をされていたのが、ギタリストで現在は谷山紀章さんとのユニット『GRANRODEO』としても活動している飯塚昌明さんで、上松さんにとって飯塚さんは『飯塚先生』と呼んで慕う存在。そんな先生と生徒という縁も有り、この曲では上松さんが曲中のギターを飯塚さんに依頼し、快く引き受けて演奏されていたそうです。

 

1位

ETERNAL BLAZE』(テレビアニメ『魔法少女リリカルなのはA's』OPテーマ)

作詞:水樹奈々
作・編曲:上松範康

みんな納得の第1位は奈々さんの『ETERNAL BLAZE』。奈々さんの代表曲であり、アニソン界の一時代を席巻したと言っても過言ではないこの曲は、業界内でも相当反響が大きかったようで、この曲が発表されて以降『ETERNAL BLAZE』みたいな曲を作って欲しいという発注が多発したとのこと。また、この頃から1~2万人規模のアニソンライブも多くなり、どうやってその規模のライブを作り上げていくかという中でこの曲が果たした役割はとても大きく、冨田さん曰くこの曲は『ライブでの合いの手や観客を飛ばせるタイミングなど、正にアニソンの教科書』。

その他に裏話として、『ETERNAL BLAZE』は一発OKをもらえた曲ではなく、2,3回のリテイクを経て完成に至った曲とのこと。上松さんはその経緯について奈々さんや三嶋Pについて『やはり2個3個と曲がある中で、本当に受け入れられる作品を見抜く眼力は流石ですね』と感心されていました。

 

ランキングでは古いものでは2004年、最新のものでは2017年と様々な年代から選曲されており、やはり上位に選ばれた曲は上松さん自身の思い入れも強い曲ということで、エレガファン、上松さんファンの愛が感じられるランキングでした。

 

質問コーナー・今後Elements Gardenに期待すること

f:id:kamashima:20170823020008j:plain

すいません、この部分については構成が曖昧です…が、記憶にはっきり残っている部分について記載します(足りない部分は情報募集中)

 

・『エレガフェスを開催してほしい

この『エレガフェスを開催してほしい』という希望については、上松さん自身も見てみたいとのこと。これに関しては実現するのは容易ではありませんが、『みんなの声が一番大きな力になるので、Twitterで沢山つぶやいてください!』とのことでしたので、みんなで拡散しましょう(笑)

 

・『コンピレーションアルバムを復活させてほしい

これもエレガフェスに近いものがありますが、エレガのコンピレーションアルバムは2010年に第3弾『Elements Garden III -phenomena-』が発売されて以降音沙汰なしの状況になっています。エレガが2004年に結成されてから既に13年が経ち、生み出された曲は数知れず。また最近は若手クリエイターの台頭もあり、上松さん自身も改めてコンピレーションアルバムを制作する必要性を感じているとのこと。

これについても、エレガフェス同様『みんなの声が一番大きな力になるので、Twitterで沢山つぶやいてください!』とのことでした。

 

うたプリ』『シンフォギア』に続く新たな上松作品の企画は?

楽曲制作だけではなく、『うたプリ』や『シンフォギア』といった大人気作品の原作も務められている上松さん。そんな上松さんの新企画についての質問。

上松さんも前々から新たな企画は考えてはいたものの、既存のうたプリシンフォギアという作品が絶大な支持を集め、また上松さん自身もそれに見合った愛をこの2作品に注いでいたため、この2作品でまだまだやりたい事、アイディアがどんどん沸いてきて、ファンのためにも新企画を出すことで疎かにすることは出来ないという想いがあったそう。

しかし、最近は上松さんに秘書がつくなど身の周りの環境面も整え機は熟したということで、『来年か、早ければ近々には情報を出せます!』との重大発表が!!しかもなんと既に2つの企画が動いているとのこと!!

上松さんの企画ということで恐らく音楽が鍵になる作品となることは間違いないでしょうが、上松さん曰く『そんなところと一緒にやるの?と思うかもしれません』とのことで、他業種や思いもしなかった分野とのコラボレーションというのもあるのかもしれません。

今後の情報解禁に期待ですね!

 

その他には、『上松さんに本を執筆してほしい』という希望や、『プロデュースしてみたいのはどんな人?』という質問もありました。

 

プレゼントコーナー

企画のラストはプレゼントコーナー。上松さんと冨田さんのサイン入り色紙を3名に抽選でプレゼントするというもの。抽選は、入場券の半券を上松さんと冨田さんがその場で引いて発表。残念ながら(というか当然ですが)私は当りませんでした…欲しかった!

 

さいごに

トークショーのしめは、夢を追いかける人達へ、上松さんからの熱いメッセージでした。その中で記憶に残っているのがこの言葉。(少しニュアンスが違っていたらごめんなさい)

夢という言葉に甘えない

『夢』という言葉は、見るための言葉ではなくて、自分の設計図を作るためのもの。そして、どんなことでも経験したことはその設計図の一つになって、例えばスマホのゲームをやることだって、将来その作品のグッズを作る仕事に就くかもしれないし、必ずどこかで活かされる。だから、『夢』という言葉にただ甘えているのではなく、何かを好きな気持ち、何かをやりたいという強い想いを持ち続ければ、必ず結果はついてくる。

 

音楽というものを愛し、自分の想いを実際に形にしてきた上松さんが言うからこそ重みのある熱いメッセージでした。今回のイベントは、エレガファン、上松さんファンだけでなく、夢を追う若者やまだ夢を追い続ける多くの人に聞いてもらいたい内容でした。もしも今回のイベントの動画や、公式でイベントレポートが上がったら、是非多くの人にご覧になっていただきたいなと思います。

 

また、今回このようなイベントを企画してくださった早稲田大学アニメ声優会の皆さんには厚く御礼申し上げます、ありがとうございました!是非次は3時間ぐらい枠とってお願いします(笑)

 

以上、『上松範康×冨田明宏トークショー Elements Garden~その音楽に迫る~』レポートでした!